Aqua Tips
No.006 TDSメーターの選び方 - 2006.11.25(2011.6加筆修正)
自作系のネタが多いAquaTipsですが、今回はイオンパックの発売以来、 多くの方からご質問を頂いたTDSメーターの選び方についてご紹介いたします。 ちなみにTDSメーターは『水中の不純物の量』を測定する器具です。

世の中には機能的な差異は殆ど無いのに製品によって価格が何倍も違うものはよくあります。 今回紹介するTDSメーターは数千円〜数十万円までピンキリで製品がありますが表面上は機能的な違いが殆どありません。 実はこの価格の違いは『測定範囲と測定精度』の違いです。 したがって、製品選びの際には使用目的にあった製品を選ばないと後悔することになります。

こんな風に書くと『ウンチク付けてエラく高いものを勧めるんじゃない?』と警戒されがちですが、 市販のTDSメーターはマーフィード マイクロTDSメーターのようなペンタイプの簡易型が主流です。 結論を言えばアクアリウムの水質測定にはこれで十分ですし、WPWで常用しているTDSメーターもペンタイプの製品です。

日本では塩素を除去する浄水器が一般的ですが、浄水器先進国のアメリカではRO浄水器は普通のホームセンターで販売されるほど一般的です。 RO浄水器の周辺機器として販売されているTDSメーターはほぼ100%がペンタイプの製品です。 RO浄水器のフィルターチェックならペンタイプの性能で充分だからです。 最近はこのRO浄水器用の安価なTDSメーターが海外から入ってきて購入しやすくなりました。

余談ですが、RO浄水器は放射性物質の除去能力もあるため日本でもRO浄水器が注目されつつあります。
放射性物質除去性能について(マーフィード社)
放射性物質に対する除去試験結果のお知らせ(マーフィード社)

したがってTDSメーターの購入前に慎重に検討してもまずペンタイプの製品に行きつくはずです。 理由は『数千円程度の安価なTDSメーターはこのタイプ』だからです。 さて、このTDSメーターには『ppmタイプ』の製品が多いですが、マーフィードの場合は『μSタイプ』もあります。 WPWに寄せられる質問の多くが『どちらを選べば良いのか?』というものです。 引っ張ってもしかた無いので結論を書きます。

Q:お勧めのTDSメーターを教えてください。どの製品を購入したらいいですか?
A1:ペンタイプで3桁ppm表示ならどの製品でも大差ないので価格で選んで構わない。
A2:マーフィードの場合はppmタイプがおすすめ。


さて、その理由ですがまずは左の写真を見てください。 マーフィードTDSメーターの『ppmタイプ』と『μSタイプ』です。 見た目は殆ど変わりませんが『中身もほぼ同じ』ですw
メーカーのホームページには 『0〜999ppmまでを表示するppmタイプと0〜1990μSまでを表示するμSタイプの2種類を揃えました。液晶表示数値×10がμSの数値になります。』とあります。 ppmとμSの違いは別の機会に解説しますが『多くのTDSメーターではμSを0.5倍した値をppmとして表示』しています。 計測センサーが同なら精度は同一ですから、単純に考えればμSタイプは0.5ppm単位で測定できることになります。
ところがマーフィードのTDSメーターは『どちらのタイプも3桁しか表示できない』のです。 ppmタイプの測定範囲は0〜999ppmですから3桁で足りますが、 μSタイプは0〜1990μSなので3桁では表示しきれないため、 表示上は下1桁を切り捨てた0〜199となります(本体に『×10μS』と書いてある)。

表示上の1μSは、実際は10μS=5ppmなのです。 したがってセンサーの性能がどうであれ『μSタイプは5ppm単位でしか計測できない』のと同じなのです。
アクアリウムで使用する測定レンジは0〜150ppm(0〜300μS)もあれば必要十分です。 この測定レンジはμSタイプの表示だと0〜30となります。 つまり、同じ測定レンジに対して『ppmタイプは150段階表示』なのに『μSタイプは30段階表示』なのです。 同じ測定センサーを使った製品なのに『1/5の測定精度』になってしまうのです。 これでは『μSタイプ』を選ぶ理由はありません。 ということで、WPWでは『1ppm単位で測定表示できるppmタイプ』をオススメしています。
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TDSメーターには『校正液』も必要になります。 メーカー出荷時に校正されていれば当面は不要ですが、使っているうちに誤差が大きくなることがあります。 測定値に疑問を感じたら電池交換して校正を行いましょう。 TDSメーターの標準付属品に校正液は付いていませんので一緒に買っておくと便利です。